「具合どう?」
帰ってきたソウちゃんが雑炊を持って部屋に入って来た。
「もう大丈夫よ、それよりちょっと待ってて。今いい場面だから」
あたしがPCの画面を見ていると「どんだけハマってるんだよ」と呆れる。
後15話でアニメシリーズは全部制覇出来る。
部屋には段ボールに入ったコミックスもあるからアニメを見たら読む予定。
寝る前にソウちゃんが読んでいて、もう30巻目に突入している。
5分くらいでその回が終わってあたしはやっとソウちゃんを見た。
「超泣けるー。切ないんだけど、子供時代がめっちゃ切ない」
ティッシュで涙を拭きながら雑炊の小さな土鍋を受け取る。
「あははは!泣けるだろ?DVD見てヤバイ所いっぱいあるけど、ツナミがうるせーから泣けないんだよね」
「ツナミと見てたら絶対泣けない。それか『うるせぇ!』って言っちゃうかも」
器に雑炊を移して食べ始める。
「あ、美味しい。ソウちゃんママが作ってくれたの?」
「違います。オレです、オレ」
ベッドに座って自分も少し食べている。
「ウソ!?こんなの作れた?薄味だよ?」
「ネットで調べて作りました。ちなみに『介護の食事』ってページ」
「何それ、超微妙じゃん」
でも美味しいからパクパクと食べれる。
「味うっすい!」食べたソウちゃんが言った。