夕食の時、「はい」って病院からの検査結果を渡した。

いつもそれを渡す時、両親は不安な顔をする。

数値が変化ないとホッとして妙に明るい素振り。

悪い時もたいして変わらないけど。「こんな時もある!」ってお父さんのひきつった笑顔が嫌い。

お母さんなんてモロ不安な顔するし。


「あ、はいはい」


お母さんが受け取ろうとする時に「言っとくけど悪いからね」と言った。

お母さんの手が止まる。


(今日は最高の一日と思っていたのに)


そのギャップに苛立ってわざとらしい両親に八つ当たりしたくなる。


「ルウコ!」お父さんが引きつった笑顔を向けた。


「聞き飽きた。こんな時もある!でしょ?一体何回こんな時を繰り返せばいいワケ?あたし何か悪い事したの?」


お父さんもお母さんも硬直したまま。

ルミすら不安な顔になる。


「・・・ごめん。別にみんなのせいじゃないよね。あたしの身体だし」


食事中、テレビの音だけがやけにうるさい。


サッカーのワールドカップの話題。日本が決勝リーグに出れるかの予想。


ふと視線をテレビに向けた。


(サッカーか・・・。彼もこういうテレビ見てるのかな?)


「お!ルウコもワールドカップ気になるか?日本頑張ってほしいよな!」


お父さんが無理矢理張り切った声を出した。


「お父さん、今特集してんのアルゼンチンのメッシって人みたいよ」


そう言って「ごちそう様でした」と言って席を立った。


静まったリビングを後に部屋へ戻る。