部屋に入ってベッドに転がって携帯を手にする。
アドレスを開くと『ソウ』ってちゃんと登録されてるし。
「ソウ・・・、ソウくん?ソウちゃん?」
口に出して言ってると顔がニヤけてしまう。
女の子みんな「ソウ」って呼んでるよね。
あたしはいつまで「高柳くん」と呼ぶんだろう?
いつかみんなの様に「ソウ」って呼んでみたいな・・・。
「絶対無理ー!!」
やたら少女趣味なフリルのついたクッションをぶん投げた。
お母さんの趣味のこの「女の子な部屋」正直嫌い。
お母さんってワガママで娘ながら「ガキだな」って思う所が結構ある。
あたしの服装に文句ばっかり言うし。
で、妥協して部屋だけはこのフリフリで我慢してる。
明日香なんかウチに来たら「シンデレラ城」ってバカにしてるし。
それでもお母さんは「絶対ダメ」って言うんだもん。
もう少し娘の意見尊重してもらいたいよ。
「お姉ちゃん、お手紙来てるよ。ラブレター」
ルミが部屋に茶封筒を持ってきた。
「誰から?って病院からじゃん。バーカ、どうせ検査の結果でしょ?」
ルミをさっさと追い出してハサミで封筒を切って中を見る。
「え?何これ・・・」
数値を目で追う。
先月よりも全部高くなってる。
やっぱり世の中は平等じゃない。あたしの世界には民主主義なんか存在しない。
何かいい事があると『死神』が現実をわからせようと何かしら作為をする。