浅い眠りの中、ソウちゃんが動く音は聞こえる。
本をパタンと閉じてあたしの頭をそっと撫でる・・・。
ギシって音がしてソウちゃんは簡易ベッドに座って多分あたしに背中を向けた。
カサカサって音がして、それは手紙を開いている音。
(読まないで・・・)
言いたいけど、半分まどろんでいるから声にならない。
重い瞼を少しだけ開けると、2枚ある手紙を交互に何度も見ている。
ソウちゃんがあたしの手紙を読んでる姿を初めて見た。
多分、あたしが寝てると思って読んでるんだろうけど・・・。
ソウちゃんの背中を見つめていると、背中がちょっと震えてクシャって紙を握りしめる音がした。
手紙に顔をうずめて背中が震えている。
(泣いてるの・・・?)
ソウちゃん、泣かないで。
あたし大丈夫だから。
明日には一緒に帰ろうよ。
これからもずっと一緒にいるよ?
だから泣かないで。
必死で手を伸ばすとソウちゃんの腰辺りに触れる事が出来た。
ビクって身体が動いて少ししてから振り向いた。
もう夜だからコンタクトを外して眼鏡をかけたソウちゃんが笑いかける。
「眠れない?」
必死で伸ばした手を握ってくれる。
それからあたしをギューって力強く抱き締めて小さな声で言った。
「大丈夫だから。ちゃんといるから。怖くないよ」