しばらくソウちゃんに抱き締めてもらっていると、震えがおさまってきた。


「大丈夫?」


あたしの顔を覗き込んで心配そう。


「・・・あたし、危なかったの?」


「いや、命に別状はないって先生が言ってたけど・・・。ツナミと迎えに来たらテーブルにもたれて動かなくてちょっと焦った。ツナミもビックリしたみたいで泣き叫んで大変だったけど。泣いてるってその時の声が聞こえたんじゃない?」


「違うと思う・・・。夢なのか何かわかんないけど、『もう終わり』って顔のない男の人に言われてすごく怖かったの・・・、その人がツナミになって泣いたりするんだけど・・・夢ならよかった・・・」


「ちょっと悪い夢見たんだね、すっごい苦しそうでオレの名前とツナミの名前を何度も呼んでたから・・・。ツナミは処置されているルウコを見るとショック受けると思って綾乃さんと外に出てもらったんだけどさ」


あたしの顔を触って「汗ビッショリだね」とタオルで拭いてくれる。


「あたし、帰りたい・・・。命がどうとかの話じゃないなら帰りたいの、ソウちゃん、笹井先生にお願いしてくれない?怖いのよ、病院に1人でいるのが怖い」


すがる様にソウちゃんに掴まると「うーん」と考えている。


「一応聞いてみるけど、今日は無理じゃないかな?不安ならオレがここに泊まるよ。ツナミは綾乃さんに預かってもらう」


「うん・・・、その前にツナミに会わせて」


「わかったよ、ちょっと待ってて」


席を立ったソウちゃんがベッドの下に目を向けた。

ピンクの花柄の封筒を手にする。


「あ、それ・・・!」


「手紙書いててくれたの?ありがとう。後で読むから。ちょっと待ってて綾乃さんとツナミ呼んできて、その間に笹井先生の話聞いてくるから」


(まだ読まれたくなかったのに・・・)


でも手紙はソウちゃんの手に渡ってしまった。