結構最後の方に彼と中川くんが笑いながら教室に入ってきた。


「お、もう席決まってんのか。オレはー、山下の隣か。課題よろしくねー」


中川くんが明日香に陽気に言っている。


「ヤダね。金取るよ」


明日香が呆れている。


ドキドキしながら彼を見ていると黒板をジーっと見てから無言であたしの前に座った。

そして後ろを振り返って「あ、柏木の前なんだオレ」と言った。


「うん。よ、よろしくね」


あたしなりに精一杯の笑顔を向けたつもり。


「柏木って緊張しやすいの?よく噛むけど」


不思議そうに言われた。


「へ?あ、そうかもしれない・・・です」


(恥ずかしい!!噛むって言われた!!死にたい!!)


「です。って何で敬語なの?変な奴」


クスクス笑って前を向いてしまった。


『てめー、ソウ!気安く柏木さんと話すなよ!』とか『汚れる!』と男子のブーイングにも欠伸で無視している。


「うっせーな。お前らも普通に話せばいいだろ」


呆れながら答えてから、もう一度コッチを見た。


「たまに課題見せてね」


ニンマリ笑って前を向く。


あたし寝ないで課題頑張ろう!!


机の下でガッツポーズした。