幼稚園にも慣れてきたのか毎日色んな友達の名前がツナミの口から出る。
いっぱいいすぎてあたしには誰が誰だかよくわからない。
あたしの手をブンブン振りながら喋りまくるツナミと幼稚園を出ようとすると、
「高柳さん」と誰かに声を掛けられた。
「はい?」
見た事あるかな?って位で誰かはわからないけど、ツナミと同じさくら組のお母さん。歳は30台後半って感じのキリっとした人。
「高柳さんって共働きなの?たまに旦那さんがお迎えにきてるけど」
「いいえ。違いますけど・・・」
あたしは未だに人見知りが抜けない。
お母さん達の「ママ友」ってのにも馴染む気もない。
「私、高野アズミの母親です。よければお茶でも飲まない?」
(笑顔がなんか怖いんですけど・・・)
断ろうと思ったらツナミが喜んで「アズミちゃんと遊びたい!」と言った。
(おいおい、あたしの身にもなれよ)
「せっかくだから。ねぇ、いいでしょ?」
喜ぶツナミを見ていると断る事も出来ない。
「少しの時間だったら大丈夫です。1時間くらいですけど、いいですか?」
「もちろんよ!ずっと話してみたかったのよ、高柳さんと。すごくキレイよねって噂なのよ?あなた」
「あははは・・・そうなんですかぁ・・・」
(うげー!苦手!!あたしママ友ってダメだー)
仕方ないから近くのキッズルームのあるカフェに向かった。