「ママ!ばーば!」
ツナミに呼ばれて振り返るとカシャって音がして写メを撮られた。
「コラ!またソウちゃんの携帯でイタズラして!お父さんに怒られるよ!」
ソウちゃんの携帯を手にニヤっとしている。
最近は携帯に興味があって置いておくと勝手にいじるから困っている。
「父ちゃんが『いいよ』って言ったもん」
「ウソつけ!」
ツナミから携帯を取り上げてゲンコツをする。
ワザとらしい泣き方をしているのは親だからわかるけど、ばーばやじーじや綾乃さんは「ツナミー」と甘やかす。
「うるさい!ウソ泣きしてもダメなものはダメ!」
「ママのバカー!どっか行けー!!綾乃さーん、ママが意地悪したー!」
「ルウコ、いいじゃない。携帯くらい」
ツナミを抱きしめながらお母さんが言った。
「ダメよ、それにこれはソウちゃんのだし。お母さんも携帯貸さないでよ?あたしデータ消された事あるんだから」
瑠璃ちゃんとルミと話しているソウちゃんに携帯を渡す。
「うお!またかよー。ツナミ!いい加減にしろよ!」
ソウちゃんの怒った声を聞くとピタっと泣き止む。
あたしよりもソウちゃんの方が怖いって事を知っているから。
「ずっと気になってたんだけど」と瑠璃ちゃんが言った。
「ルウコちゃんは『ママ』で何でソウは『父ちゃん』なの?」
「さぁ・・・特に聞いた事ないけど、小さい頃から『とうしゃん』って言ってたんだよね。『お父さん』が言いにくくてそうだったんだと思うけどその延長じゃない?ソウちゃんは嫌みたいだけどね」
「今時『父ちゃん』はねーだろ?しかも娘だし」
ソウちゃんが本当に嫌だなーって顔をした。