「何言ってんの?今日、結婚式だったんだぞ?そんな日に自分が死んだら・・・なんて話をどうして今するんだよ」
ちょっと半笑いでソウちゃんが言った。
「そうだよ。結婚式だったから、あたし達は『夫婦』としてスタートライン立ったから言うの」
「前にもオレ言ったよな?ルウコが死ぬとかそういう話はしたくないって」
「でも現実にあたしはソウちゃんより先に死ぬわ」
あたしがピシャリと言うと黙り込んだ。
「ソウちゃんに嫌な思いをさせたくて言ってるんじゃないの、わかって?」
「わかんねーよ」
コーヒーを一口飲んだけど、マグカップを持つ手が少し震えている。
「あたしお花とかに囲まれたくない。ソウちゃんからもらった青い手紙に囲まれたいんだよ。でもあたしの手紙が入れないでほしいの」
ソウちゃんは悲しそうな顔であたしを見ている。
お腹にそっと手を置くと合図の様に蹴り返される。
「あたしの手紙は生まれてくるこの子に見せてほしいの。あたしがどれほどソウちゃんを大好きだったかを知ってほしいから」
「だから・・・」
「約束だよ?絶対にソウちゃんの手紙入れてね。それに・・・」
あたしはソウちゃんに笑いかけた。
「あたしはそう簡単に死なない。これからもこの子と3人で・・・出来ればもう1人くらい産みたいから。ソウちゃんともっといたいからあたしはまだ死なないよ。大丈夫!」
「ルウコ・・・」
「だから安心して?でも約束は守ってね」
あたしの願い・・・17歳からの願いをどうかわかってほしい。
いつまでもソウちゃんに愛されて、そして人生の終わりもそれは変わらないって気持ちを・・・わかってほしい。