「ソウちゃんまだ酔っぱらい?」


「いや、もうかなり冷めてるよ。多少頭痛がするけど」


食卓テーブルに今日撮った写真をいっぱい並べる。

デジカメだからすぐに出来るらしく、2次会の時に式場の人が届けてくれた。


「ちょっと話があるの。座って?」


コーヒーを入れてマグカップを置くと、ソウちゃんがちょっと身構えて座った。


写真を少し眺めてから息を吐いてソウちゃんを見た。



「手紙の意味をそろそろ教えておいた方がいいと思うの」


「手紙の意味?」


「17歳の頃からどうしてずっとあたしが手紙にこだわり続けている意味、これからも続けてほしい意味を知ってほしい」




あたしが初めて下駄箱に手紙を入れた日からほぼ5年。


最初は自分の存在を知ってほしいって理由で書いて、メモでも何でも一回だけでも何か『残る』返事をくれたら幸せだな、って思ってた意味を、ソウちゃんには知る権利もあるし、知ってもらわないと今後のあたしの『願い』が叶わない。


ソウちゃんからの手紙は名前にちなんだ『青い便箋』。

これをずっと変えないでいたのは、同じ色だときっとキレイだから。

そしてこの宝物の手紙はあたしだけのモノだから。




「ねぇ、ソウちゃん。お願いがあるの」


「お願い?」


ちょっと強張った顔なのはきっとあたしが真剣だから。


「ソウちゃんからの手紙、あたしが・・・。あたしが死んだ時に全部棺に入れてほしいんだ」


あたしの言葉にソウちゃんはコーヒーを飲もうとする手が止まった。