「それにしても子供が出来たからってよく結婚決意したよな」


鍋をつつきながら幹太くんがしみじみと言った。


「幹太、それ聞くのもう10回目。何度も言うけど、元々結婚はするつもりだったけど子供が出来て早くなっただけ」


ソウちゃんが顔が赤い幹太くんに呆れている。


明日香とミサちゃんは先日結婚式の写真を撮ってきたモノを見て大喜び。


「いやーん、可愛い!こういうの見ると結婚したくなっちゃうね」


ミサちゃんがいつもの可愛らしい声で言った。


「ルウコは確かにキレイだけど、ソウちゃんの引きつった笑顔が笑える」

明日香は笑いながら写真を指差している。


「うるせーよ!笑って下さいって言うから笑っただけだ」


「あはは!そうそう。『新郎さん、笑って下さい』って言われて『はぁ!?』って文句言ってたんだよ」


「突然笑えねーよ」


あたし達のやり取りを無視してミサちゃんは妄想モードになっている。


「お嫁さんかぁ・・・、いいなぁ、可愛いうちになりたい」


「だってさ、幹太。早く結婚してやれよ」


幹太くんは困り顔。


「だってオレ、就職先もまだ見つかってないし・・・留年しそうな勢いだし。まだまだ先だな」


「幹太酷い!そういう時は『待っててくれ』って言うのが男でしょ!」


空の缶ビールをぶつけてミサちゃんが悲しそうな顔をする。


「可愛い子ぶってやる事は男みたいだぞ!」


オデコにヒットした幹太くんが文句を言った。


「幹太のバーカ」


明日香がからかう様に笑った。