ガレージに車を停めて、携帯でお母さんに伝える。


「ソウちゃん連れて来たから開けてー」


『はいはい、お待ちしてましたー!』


陽気なお母さんの声が聞こえないように背中を向けた。


「もう11時じゃん。オレかなりな非常識だよ・・・、柏木家とは仲良くしてたのに今日からオレは悪者だな」


玄関に向かうとあっちからドアを開けてくれる。


「オース!ソウちゃん、いらっしゃい」


「あ、ルミ。高校合格おめでとう、今度何かお祝いやるよ」


「金!金がいい」と言うルミの頭をあたしが殴った。


「妊婦超怖えー!ソウちゃんピアスの穴開けてよ、んでピアスちょうだい」


「ピアスって、人様の娘の耳に穴開けられるかよ。ルウコに開けてもらえ、ピアスは買ってやるから」


ルミがスリッパを用意して「早くリビングに来てよ」と戻ってしまう。


「高柳です。夜分遅くにすいません。お邪魔します」


聞こえるように言ってから靴もキチンと揃えたのを見て2人でリビングに向かった。


リビングに入ると、「ソウちゃんいらっしゃい、お腹空いてない?」とお母さんが言った。


「いえ・・・、それよりお話があるのですが・・・」


パーカーを脱いでラグランTシャツになったソウちゃんがモソモソと呟いた。


「話?どうぞ座って。お父さん!ほらコッチきて!ルミは部屋に戻ってなさい」


リビングのソファの前に座ると、お母さんがあたしにはいつものプリンを、ソウちゃんにはガトーショコラを出して、自分達はショートケーキを選んだ。


完全に緊張しているソウちゃんはコーヒーに口も付けない。