「率直にどう思ったの?」
あたしが聞くと困った顔で笑った。
「え?お恥ずかしい話、40台にしておばあちゃんかぁー、孫には「綾乃(あやの)さん」って呼んでもらいたいって思った」
お母さんの言葉にあたしは爆笑してしまった。
「何それ!普通、親なら彼氏呼んでこーい!!って怒るんじゃないの?」
「そうよねぇ・・・、でもルウコはソウちゃんがどう思おうが産むだろうしって思ったら、『おばあちゃん』とは呼ばれたくないなぁって。変よね?」
「変!どうかしてるよ。お父さんは怒るだろうけどね」
「お父さん?さぁ・・・あの人の事よくわからないから」
「よくわからない?何で結婚したの?」
「いやぁ・・・」と言いながら困っている。
「ノリ?当時は公務員と結婚するのが流行りだったから」
柏木綾乃の結婚経緯は実に下らなかった。
(だから冷めた感じの夫婦なのか・・・)
妙に納得してしまう。
「さて!私の話はどうでもいいから、お父さんに報告しなさいよ?それから・・・あ!!」
急に親の顔になったかと思うとまた困った顔に戻る。
「今度は何?」
「ソウちゃんのご両親に謝らなきゃ!どうしよー・・・、週末より定休日がいいわよね?お父さんに有休取らせなきゃ」
「お母さん、それ逆だと思う。別にソウちゃんのご両親に謝ってほしくないけど、普通は男の子の方が挨拶に来るんだと思うよ」
「え!?そうなの?悪いわよぉ、ウチは大賛成なのにソウちゃんのお家は違うかもしれないでしょ?」
(この人大丈夫かしら・・・)自分の母親を真剣に心配してしまった。