夜になり、お母さんがあたしの部屋をノックした。
「いるんでしょ?ソウちゃんと出かけたからご飯いらないと思ったけど、食べるの?」
ドア越しの声に「いらない」と答えた。
しばらく間があってドアを開ける音がした。
電気もつけないであたしはベッドに寝転んでいた。
「真っ暗じゃない。ソウちゃんと喧嘩でもしたの?それとも具合悪い?」
電気を点けながらお母さんが言った。
「別に・・・」
勉強机がなくなって、ソファが置かれて「シンデレラ城」からかなりシンプルになったあたしの部屋でお母さんはソファに座った。
「しけた顔してどうしたの?」
(何て言おうか・・・)
いずれは言わなきゃいけない事だ。
さっさと言ってしまった方が楽かもな、そう思って言う事にした。
「お母さん、子供出来た。2ヶ月だって」
あたしの言葉にお母さんもやっぱりフリーズした。
「聞いてる?」
言葉をかけると、あたし用に持ってきてくれたお茶をグビグビ飲み出した。
「そ、ソウちゃんの子供よね?に、に、妊娠ってそんな急に・・・」
「急だよね。言われたらそうなるよね、それが普通なんだよね」
お茶を飲み干して息を吐き出してあたしをジーっと見た。
「怒った?」
「怒ってはいなくて、ビックリしてるかな?いや、世の中の親は普通怒らないといけないのかしら?」
頬に手を当てて戸惑っている。