そして今、明日香とご飯を食べている。


意外に冷静なあたしに対し、まるで自分が妊娠したかの様な慌てっぷり。


「えー、ソウちゃん何て言うかなー・・・。あの性格だから『そうなの?』ってあっさりかな?それともビックリして『マジ!?』っておののくかな?」


「明日香が焦ってどうするの?」


あたしが笑いながら言うと、「焦るでしょ!!」と怒られた。


「アンタの身体の事考えたら焦るじゃん。どうしようって思うじゃん」


「どうしようって・・・、どうもこうも事実だから、あたしが『親』としてどう対応すべきなのか考えればいいんだし」


「何でそんな冷静なの?ソウちゃんも冷静でいられると思う?」


(ソウちゃんねぇ・・・、ビックリして固まるだろうけど)


「ソウちゃんがどうしようがあたしは産むけどね」


明日香が心配そうにあたしを見る。


「反対されても?反対の理由はルウコの身体を思ってだろうけど」


「うん。だってもう二度とこんなチャンス来ないかもしれない。あたしが母親になれるなんてないと思ってたから」


「いや、チャンスはまだあるでしょ?」


「その『チャンス』の時にあたしが生きてる保証がないから」



病院を出た時はどうしようって悩んだけど、明日香に会う数時間の間に悩みなんてなくなってしまった。


何より「母親」になれる、それが強かったから。


将来、多分ソウちゃんは一緒にいてくれるけど、子供なんて無理かもって思ってたから。


だから、今はペッタンコなお腹の中にいる「命」を育てたい。


代わりにあたしが死んでしまっても構わない。


これって「母性」の始まりなのかな?