「あの、教室にいなくて心配で・・・っていうか不安で・・・。でも何で部室?」
自分でも何が言いたいのかわからないけど、入り口に突っ立ったまま話掛けた。
「ドア閉めてくれないとオレ停学になっちゃうよ」
苦笑いをしたから慌ててドアを閉めた。
ドアにもたれかかって改めてソウちゃんを見た。
タバコを吸っている手元にはあたしとお揃いの指輪。
左利きだからこのゴツい指輪は字を書く時に痛いって言ってた事があったよね。
それでも約1年続いている「手紙」のやり取りをソウちゃんは守ってくれている。
あたしがどういう意味で手紙を書いてもらっているかは内緒にしている。
それはもっと大人になってから言いたいから。
「あ、何で部室って言ったよね?」
「うん・・・」
腕組みをしながらちょっと考えている。
それからゆっくり喋り出した。
「オレね、何でも中途半端で適当にやってきたワケ。でも唯一続けてたのはサッカーだけだったんだよね」
よくわからないから黙って聞いている事にした。
「だけどサッカーが好きか?って聞かれたら、それなりに?ってくらいな答えしか出ないんだけど、子供の時から不思議と辞める気がしなかったんだよなー」
そう言ってポケットからまたタバコを出して火を付けた。
「何か自信持てる事って実はなかったんだ。去年まではね」