翌日、退院の準備をしているとお母さんがちょっと気まずそうな顔をしていた。


昨日のソウちゃんとのやり取りは聞いてたし、ソウちゃんは「彼女の親に何て事を」ってひたすら謝ってたけど、あたしは「ありがとう」って言った。

ソウちゃんは何でお礼を言われてるのかあんまりわかってなさそうだったけど、その行動はウチの家族がちゃんと「家族」として向き合えるキッカケになるかもしれない事だから。

更にビックリしたのが、ソウちゃんに怒られたお母さんが「ごめんなさい」と大泣きした事だった。


すぐに何でも「ダメ」ってばっかり言うし、あたしの言動、行動にビクビクしている両親に呆れたのはいつからだろう・・・。


親なんだから当たり前に苦しかったはずなのに、それすら無視してしまっていたあたしはすごく子供なんだと思う。



「お母さん」


声を掛けると「え？」と驚いた顔をした。


「ソウちゃん、いい人でしょ？」


ニッコリ笑って言うと、困った顔をしながら頷いた。


「今時な感じの子で大丈夫かしら？って思ったけど、想像よりしっかりした子なのね、ソウちゃんって」


「当たり前じゃん。あたしの彼氏だよ？」


「お父さんは反対してたけど、話してみるといい子だからって言っといたから。だから・・・」


「ん？」


「今度、連れて来てもいいけどね！」


お母さんとあたしは似てる。

素直じゃなくて口が悪いところ。


「別に会わせてあげてもいいけどぉ？」


顔を覗くと真っ赤になってそっぽを向いた。


もう少し家族に優しく素直になってみよう、そう思う。