病室に入って来たお父さんから、無添加のベーグルをもらって食べていると案の定色々と聞かれる。


「いやぁ、気絶の発作なんて初めてだからお父さんビックリしたよ」


「そうだね」


「夏休み、遊び過ぎたからじゃないか?だから無理はしちゃいけないって言ったのに」


「夏休みは思い出いっぱい作って下さいって言ったの病院じゃん。どうせ悪くなってるんだから、いつ発作が起きてもおかしくなかったんだよ」


言った途端にあからさまにガックリした感じで食べていたサンドイッチを口から離した。

こういう「いかにも」って感じがイライラする。

だからウチの家族が嫌いなんだ。



「そういう態度とかも何かわざとらしくて嫌なんだけど」


嫌味たっぷりに言った途端にお父さんの携帯が鳴った。多分、メールだろう。


「お、ルミからだ。うーん?『ソウちゃん』だって。今日、ルウコを助けてくれた子だね」


メールを見ようとするのを「ちょっと待って!!」と止めたけど、遅かった。


お父さんは画面を見ながら首を傾げている。

それからメールの画面をあたしに見せながら「誰?」と言った。


画面にはさっき写メで撮った苦笑いのソウちゃんと嬉しそうなルミが写っている。


(もー!さっき可哀想だと思った気持ち返してよ!)


深く息を吐いてから「彼氏です」と言った。


「え!?」


ビックリして画面をマジマジと見つめている。