「何度見てもゴツい指輪・・・」
待ち合わせ場所に向かう途中、明日香のこの言葉を何度聞いたか。
「だからぁ、あたしが可愛いって思ったんだからいいじゃん!それにこれにはソウちゃんの愛情がいっぱい詰まってるの!」
「へー、愛情って何?指輪の裏に愛の言葉とか?」
「ふふーん、知りたい?」
あたしが左手をヒラヒラさせていると、前を歩いていたソウちゃんがギョっとして振り返った。
「ルウコ!見せたら没収だからな!」
「え!?ヤダ、ウソ、無理!!」
慌てて手を隠すと、明日香は「興味ないから」と呆れた。
今、あたし達は幹太くんの彼女のミサちゃんと遊ぶために待ち合わせの場所に向かっている。
遊ぶってよりも、幹太くんが「自慢」したいらしいけど・・・。
写真で見たミサちゃんは女の子って感じであたしや明日香とは正反対。
でも、明日香が言うには性格はオッサン=あたし達と似てる。らしい。
ちょっと人見知りするあたしだから、いくら名前は何度も聞いていても少し緊張してしまう。
あたしの友達は明日香と幹太くんしかいない様なもんだから・・・。
仲良くなれるんだろうか・・・?
「お、いたいた!ミサ発見!!」
そう言うと手を振りながら幹太くんは女の子の元へ走って行った。