「可愛い人だね」
幹太くんの携帯の写メを見ながら言うと
「そうだろ?ソウなんて『へー、あっそ』って感じで全く興味ないんだよ!」
めでたくミサちゃんと付き合えた幹太くんが文句を言っている。
明日香からミサちゃんの話は聞いていたけど、顔を見るのは初めて。
小柄でフワフワの髪でデートスポットで有名な噴水の前に写っている『the 女の子』って感じ。服装もピンクのワンピース。
「あんまり興味を持ってもらっても困るけど・・・」
あたしが言うと幹太くんは「それはない!」と慌てて否定した。
「性格はあたしやルウコと一緒だよ。オッサンみたいな性格」
明日香が笑いながら言った。
「オッサンじゃねーよ!!もっと女の子だよ!」
「それって、あたしとルウコに喧嘩売ってるの?」
明日香と幹太くんのやり取りも日課みたいなもんだ。
そしてこのやり取りに無関心で雑誌を読んでいるソウちゃんもいつも通り。
何だか色々あった夏休みもすっかり終わって季節は9月の後半。
授業やHRは進路の話題が多くなってきている。
それでも「アホ集団」と学年で有名なウチのクラスは進学校なのにのんびりしている方だと思う。
幹太くんはどうやらミサちゃんと同じ大学に行きたいらしい。
でも、ミサちゃんの方がずっと頭がいいみたいで悩んでいる。
「最悪、サッカーで推薦取れば?」
と明日香に言われている。確かにミサちゃんの志望校はスポーツでも有名。
「それしかないかぁ・・、オレ大学までサッカーやりたくない」
幹太くんもソウちゃんももうサッカーはやりたくないみたいだ。