また顔を上げられなくなったあたしにソウちゃんのお母さんが言った。


「ソウがルウコちゃんの支えになってあげているのかはわからないけど、あなたはあなたの身体の事を考えて大事にしなさい。でも、病気になんか負けないで強くなりなさい。『あたしは普通なんだって胸を張りなさい』ソウ、あんたはルウコちゃんをしっかり支えるのよ」


涙でボロボロの顔であたしはお母さんを見た。


ウチのお母さんみたいにバリバリメイクをしていて何歳なんだか若いんだかケバいんだかわかならい人とは全然違う。


ボーダーのTシャツにジーンズでエプロンこそはギャルソンのエプロンだけど、化粧っ気があんまりなくて優しい目元でニッコリしている。


ソウちゃんって性格の雰囲気はお父さんぽいけど目元はお母さんだ。

その優しい笑顔にあたしは何度も『ごめんなさい』って思いながらも安心してたから。

信じてもいいって、支えてくれるって信じてるから。



「わかってるよ」


ボソっとソウちゃんが言った。

それを聞いて


「ほら、ルウコちゃんも笑って!」


と言われた。


ソウちゃんを見ると頬杖を付きながらお母さんと同じ目元の優しさで笑っている。



ソウちゃんが優しいのはこの温かい家族がいるからなんだ。

照れ屋だけど優しいお父さん、元気だけど温かいお母さん、明るくて強引なくらい場の雰囲気を変えれる瑠璃さん、

犬までも優しい穏やかな顔。

ダックスの『モモ』と『紅(べに)』、チワワの『藍(あい)』に、フレンチブル『ペンすけ』


涙を袖で拭ってあたしはソウちゃんの家族に笑顔を向けた。