『格差婚』
よく耳にする言葉だけど、「柏木家」はまさにそれ。
お父さんはハローワークで求人を斡旋するのが仕事。
要するに内勤の公務員。
お母さんは昔、貿易関係の営業で海外出張ばっかりしていて、ハローワークの人と英語ペラペラのキャリアウーマンがどういう経緯で知り合ったかはしらないけど、結婚してあたしが産まれた後、お母さんは独立して輸入関係の仕事を立ち上げた。
会社は運良く軌道に乗り、お母さんの年収とお父さんの年収はかなりの差があるみたいだ。
産まれた時から既に「格差」は始まっていて、「柏木家」の主導権はお母さんにある。
あたしやルミはそれなりに贅沢な生活をしてるけど・・・
ねぇ、お父さん?
不満・・・ないの?
威厳なんて持たされていないけどあたしはお父さんが好き。
いつになっても上達しない目玉焼きが好きだよ。
「お母さんって泣く事あるんだね」
あたしが言うとキッと睨んできた。
「当たり前でしょ!自分の子供がどうして・・・って思うのがおかしいの!?」
「いや、おかしくはないけど・・・。何か変な感じ」
「ルウコ、あなた自分の事理解してる?突然死なんて・・・、親としてどうしていいかわからないのよ!」
「だって、あたし普通だし・・・笹井先生も可能性があるってだけで断言してないじゃん」
「ルウコ!あなたの身体の事なのよ?_
そう言われても実感ないんだよね・・・。