「え?キ、キ、キスですかい!!」


ソウちゃんが笑い出した。


「キスですかい!って何その言葉」


「いやいやいや、だってあたし初めてだもん。心の準備が・・・」


「この距離でそんな事言うかなー」


(恥ずかしい!!どうすればいいの!?)


「するから!ちょっと心の準備させて!)


ソウちゃんの肩に頭を置いて手を心臓に当てる。


(ものすごくドキドキしてるじゃん!発作の前にキスしただけで死ぬかも)


無理だ、絶対無理・・・。


もう「隠し事」なんてどっかへ飛んでる。


「ルウコ」呼ばれて慌てて上を向いたら・・・


唇がちょっと触れただけのキス。

でもあたしにはファーストキス。


「まだいいよって言ってない!!」


真っ赤になりながら文句を言ったけど、優しく笑っている。

そしてさっき以上に強く抱きしめられた。


ソウちゃんの声が耳元で聞こえる。


「あのさ、急いでないから喋りたくなったら、1人で抱えるのが辛くなったら言って?約束」


ファーストキスで頭はいっぱいだけど・・・


ソウちゃんは多分、あたしの「秘密」の何かを知っている。


それだけはわかる。



「・・・わかった」あたしはそう答えた。