「ソウちゃん、別にいいから」
あたしは止めたけど「これはオレの問題」と言われてしまう。
今にも殴りかかりそうな明日香の頭をポンポンと叩いて、ソウちゃんが三上さんに言った。
「あのさー、今まで別にどうでもいいから言わなかったんだけど」
三上さんの顔が不安になる。
「オレ、今さ彼女いるワケで、結構大事なんだよね?だからお前とオレがヤったとか変なウソを噂みたいな感じで言うのやめてくんないかな?」
「あたしは・・・」三上さんが何か言おうとしたけど制した。
「噂の元がお前だってのは出た時から知ってるから。今現在、迷惑だからもう言わないでね」
それだけ言うとさっさと自分の席に座った。
いつも明るいこの2組がシーンとしている。
あたしと三上さんの喧嘩と三上さんとソウちゃんの噂の真実。
「あれウソだったの?」とか「うわー、オレ三上に引いたわ」とかコソコソと話す声だけが何だか響く。
(ちょっと三上さんが気の毒・・・。いや、そうでもない?)
自分でどうしていいのかわからなかった。
噂の事は確かに「ソウちゃんの問題」であたしが口出す事ではない。
「って事でいいんだろ?明日香」
ソウちゃんが明日香に声を掛けると、
「まぁいいか、許してあげるわ」
明日香がニヤっと笑って自分の席についた。