「ルミ、まず勝手にお姉ちゃんの部屋に入った事、プリクラを見た事を謝りなさい!」


お母さんの怒鳴り声に襟首を掴まれたままビクっとしている。

柏木家の最大権力者はお母さん。

収入はおろか威厳も怒った時の怖さも。


「だって、彼氏出来たのって嬉しいでしょ?ソウちゃん優しそうだったからルミも会いたいなーって思うのは変?」


「変じゃなくても、ルウコより先に喋っちゃうのはダメ!!さっさと謝る!」


「ごめんね?お姉ちゃん」


言われて仕方なく手を離した。

でも立ち上がったルミは「今度ルミには会わせてね」と耳打ちして行った。


(全然懲りてねーじゃん!これからあたしが地獄に遭うってのに)


食卓に戻ると頬杖をつくお母さんと腕を組むお父さん。お父さんの威厳なし。


「で、ルミが言う通りに「ソウちゃん」て子とお付き合いしてるの?」


「うん」下を向きながら答えた。


「ソウちゃんじゃわからないんだけど、名前は?どこの子なの?」


「同じクラスで、名前は高柳 蒼くん。サッカー部です」


言ったと同時にお父さんが強めに出た。


「茶髪にピアス!?そんなチャラけた男と付き合いなんて反対だ!」


「何言ってる?自分の娘のピアスの数確認してから言いなよ」


お父さんの出番、終了。


ずっとあたしを見ていたお母さんが言った。


「年頃だから付き合うのに文句はないけど、彼はルウコの身体の事知ってるの?理解して付き合ってるの?」

やっぱりきたか・・・。

あたしは首を振る事しか出来ない。