突然名前を呼ばれて、バッと後ろを振り向く。
そこには、いたずらっぽく笑う達也くんが。
「な、何であたしの名前っ……」
「調べました」
あたしが再びびっくりしていると、達也くんがあたしの耳元に口を寄せた。
「俺、先輩のこと好きになっちゃいました。付き合ってください」
あたしが受けた人生初の告白は、
まさかの、バス車内でのことだった。
「先輩、停留所に着くまでに返事考えといてくださいね」
「でもあたし……あなたのこと何にも知らない……」
「須藤快。一コ年下だけど、本気ですから」
初めて知った、君の名前と学年。
それと……裏の顔。
この笑顔を見るかぎり、
ちょっぴり小悪魔かもしれない。