「……」


「……」


学校から家までは歩いて20分くらい。


早瀬君の方が確かもう少し遠かったはず。


途中で大通りから一本奥に入った閑静な住宅街の歩道を歩く。


「……緊張してる?」


ずっと無言でひたすら歩いていた私に、早瀬君が笑いをこらえながら話しかける。


「し、してないしっ」


明らかに挙動不審。


実はめちゃくちゃ緊張している。


男の子と接点がない私は、こういうの、映画とかマンガでしか見たこと無いし。


ていうか、図書室では自然に話せるようになったのに、一歩外に出るとこんなに喋れなくなるなんて、我ながら情けない。


いや。


アレだ。


早瀬君がさっき、女性関係がそれなりにあるという事実を激白したからだ。


それで私の中に無意識に警戒心が生まれちゃったんだ。


間違いない。