「頭、いいよね」


なんとか問題を解き終えた私は、お礼がてら付け加える。


「そうだね」


ありのまま受け入れる素敵な早瀬君。


言われ慣れているみたいだ。


少し小憎たらしい。


ギッと早瀬君の方のパイプ椅子が音を立てる。


後ろに体重をかけて足を組み、こちらを見た。


「走らないの?
もう」


「え?」


急に何の話?


「長距離。
早かったじゃん」


……ああ。


部活のこと。


中学の頃のことか。


「膝故障したからね」


「知ってるけど。
走らないの?
もう」


「……うん」