「お、教えて欲しいんだけど……」
思い切って言ってみる。
早瀬君はチラリと私を見て、
「いいよ」
と、答えた。
心なしか笑いながら言ったように見えた。
座っている私の横で、半腰で身を乗り出した早瀬君が人差し指で説明する。
早瀬君が作った影の中にすっぽり収まった私は、説明を聞きながらも、早瀬君のシャツの柔軟剤のいい匂いと、時々上下する喉仏と、筋張って大きな手と指が気になって仕方なかった。
変な汗をかいた。
聞かなきゃよかった。
あんまり頭に入ってこなかったし。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…