過去は過去だし今更考えたところで、とも思ったけれど、私はちゃんと考えたかった。
早瀬君の告白に、正面からちゃんと向き合いたかった。
思い返せば……。
中2の頃。
早瀬君がサッカーの試合で得点を決めたと聞いた時には、自分のことのように嬉しかった。
早瀬君がテストで学年1位を取った時には、自分のことのように鼻が高かった。
無口な早瀬君の声を聞いた時には、それを録音して録っておきたいと思うほど胸が高鳴った。
中3になってクラスが変わってからも、廊下にその姿を確認する度、目が彼を追った。
あれは恋じゃなかったのか。
『恥ずかしい』に隠れた、1つの、小さな、でも、確実な。
恋じゃなかったのか……。