「……」


「……」


ああ、嫌だ。


……この、空気。


パラリ。


――え?


何か言われると思っていた私は、早瀬君が読書を始める音を聞いて少し拍子抜けした。


……何も、聞かない、の?


「……」


居心地が悪い。


むしろ、聞いてくれた方が……楽。


「早瀬君」


私は頭より先に口が動いていた。


「何?」


ゆっくり顔をこちらへ向ける早瀬君。


いつも通りの無表情。


「き、昨日ね。
実は、隣のクラスの男の子達とファミレス行ってね。
そしたら偶然木之下君もいて、私びっくりしちゃっ……」