「単純なんだね。
前髪上げちゃって。
ま、高田は喜ぶよ」


ニヤッと笑ったかと思うと、くるりと振り返り、木之下君は扉の方へ歩いて行った。







「……」


カラカラカラカラ。


パタン。




大きな足音が遠ざかっていく。






図書室はいつもの静けさを取り戻した。


……変な空気だけを残して。






カタン。


ゆっくり早瀬君が椅子に腰を下ろす。


「……」


私は、今の木之下君の言葉を早瀬君がどういうふうに受け取ったのかがとてつもなく気になり、同時に妙な寒気を感じた。