「果歩りん、行こっ!」
放課後。
恵美ちゃんと玲奈ちゃんが私の机のところに来た。
早瀬君はもう既に図書室に行ったようだ。
「……うん」
乗り気じゃない私は、2人の後を隠れるようにしながらついて行った。
昨日の早瀬君の、
『相手を知ろうとする努力もしてないし、自分を知ってもらおうとする努力もしてない』
という言葉が頭にふっと甦る。
確かに私はそう。
でも、その努力の末に嫌われたくないのだ。
傷付きたくないのだ。
結局。
どこかで相手を見下している黒い自分がいるくせに、そんな相手にすら自分の存在を否定されたくない。
『傷付きたくないからって、踏み込まないんだね。
自分が可愛いんだ』
以前言われた言葉も一緒になって頭に響く。
その通りだよ、早瀬君。