「別にいじめられてた訳じゃなかったんだけど、ただ断ることも『同じマネージャーなんだから手伝って』とかも言えなくて。黙って仕事をしてたわ。そしたらね、そんな私を見兼ねたのか相沢くんが言ったのよ」



『そんな俯いてばっかでどうすんですか。いい加減、はっきり言ったら？』



知ってる、その言葉……。
私も、同じようなことを言われた……。


「信じられないよね。私、マネージャーとはいえ先輩なのよ？それなのにあんなこと言われたから驚いちゃって。でも彼の言う通りだったわ。でも、なかなか勇気が出せなくて中学の時はそのまま変わることができなかったの。高校では同じ失敗を繰り返さないように必死に頑張ったんだ」


それで、今の野川先輩になったんだ。
今の野川先輩があるのは、相沢くんのおかげ。
聞かなくてもわかる、そんな人が同じ学校に入学してきて、同じ委員会に入ってきたら、気にならないはずはない。


「相沢くんね、ズバズバ言い過ぎるところあるけど、結構優しいのよ。あの言葉も、きっと私のために言ってくれたんだろうし」


知ってる、知ってるよ。相沢くんの優しぃところ、ほんとにたくさん知ってるよ。
そういうところを、私も好きになったんだもん。


でもそれは、野川先輩も同じで……。


同じ……か。


相沢くんがあの日私に声をかけてくれたのは、かつての野川先輩と私が似てたからなのかな……？