結局、戻ってきてしまった。
しばらく考えたけど、やっぱり自分で引き受けておいて中途半端にして帰るのはよくない。
忘れてたならまだしも、思い出したのにやらないのは逃げるみたいで嫌だったから。
相沢くんがもう帰ってくれてることを期待しながら教室に向かう。
出くわしたりしたら気まずいもん……!
自分の教室までたどり着くと、そろーっと中を覗いてみた。
すると、驚くことに相沢くんはまだいて。
それだけならまだしも、あろうことか私がやり残した仕事を片付けてくれていた。
「えっ……何で……」
思わず、小さくつぶやいてしまい、慌てて口を手で塞ぐ。
あのサボり魔で失礼な相沢くんが、自分の仕事でも何でもないのにやってくれている姿がとにかく信じられなくて、何度見してしまったことだろうか。
ごしごしと目をこすってもう一度覗いてみたけど、やっぱり日誌を書いて窓の鍵がかかっているのを確認して黒板を消しているのはまぎれもなく相沢くんだった。