「お前、自分ではそうは思ってないんだろ?わかりやす」


「?」


そんな笑わなくてもいいのに。
というか私は、そんなに思ってることが顔に出やすいタイプなのか?



「香波……俯かなくなったよな」



「え……」



相沢くんは「うん」と頷いて、私に優しく笑いかける。


「俺さ、初めて見た時からずっと下向いてる子だなって思ってたんだ、香波のこと。初めて話した時も失礼なこと言ってただろ?俺」


ああ……あの時はさすがの私も本気で怒っちゃったっけな……。


クールでぶっきらぼうでサボり魔という第一印象に失礼な人というのが加わった。
そして、文実委員として一緒に過ごしていくうちに相沢くんの見方が少しずつ変わっていって……今は優しくてとても心が温かい人だと思っている。


まさか、好きになるなんて夢にも思っていなかったけどね。



「今の香波、すげーいいと思う」



そんなこと、そんな優しい顔で言われたら。



「っ! ……あ、あり、ありが……とう、ございますっ……」



なんかいろいろ期待しちゃうよ。



「あ、もしかして照れた?顔赤い」


「ち、違います!暑いんです!」


「……クーラーついてるけど?」


「……!!」


相沢くんのとまらない笑い声が、さらに私の羞恥心を大きくさせる。
でも、そんな何気ないやり取りが楽しかった。