相沢くんは、何で睨まれてるのかとか、訳が分からないといった様子。私も、柏木くんがどうしてあんな怖い顔をしているのかわからない。


「香波……行くぞ」


「えっ、でも……」


相沢くんは何を思ったのか、私の手を引き、柏木くんを無視して行こうとする。


「香波ちゃんは俺のなんだよ!気安く触れんな!」


「へっ!?」


思わず驚いて振り返る私。それにつられるかのように、相沢くんも足を止める。


よ、よくわかんないけど、柏木くん、私のことで相沢くんに怒ってるんですか!?
というか、私は柏木くんの“もの”になった覚えはなのですが!!


「いつ香波がお前の所有物になったんだよ。寝言は寝て言え」


さすがの相沢くんも少しいらついたみたいで、振り向きざまに柏木くんにガンをとばす。こんな相沢くんは見たことがなくて、さすがに怖い。


「だったらお前のものでもないだろ。馴々しくしてんじゃねーよ」


柏木くんもひるみもせず、さらに言葉をぶつけてくる。


何でかはよくわからない、わからないけどこの状況はきっと私が原因となっているんだ。
ああ、なんとも居たたまれない……。


そんなふうにおろおろする私を、優しくなだめるかのように相沢くんが言った。



「うっせーな。香波に変なことしたらタダじゃおかねーぞ」