「だから言ったじゃん。俺、香波ちゃんが気に入ってんだよ。だから、相沢浩也にとられる前に君のファーストキスもらっておきたいなって」
ただただ目を丸くして呆然としている私に、柏木くんが当然のようにすらすると言葉を並べていく。
ややや、やっぱり恋愛的な意味の“気に入った”だったのか!?
なんか展開が急すぎてついていけないんですけど……。
「お、お断りさせて頂きます……」
「えー、そんなー」
いろいろ危険だと感じた私は、柏木くんを無理やり押し退けて距離をとる。
柏木くんが不満そうにしてたって知るもんか。
「しょうがないなー。じゃあキスはもうちょい待ってあげるよ」
ななな何故上から目線!?
と、というか、別に待っててもらわなくていいのですが!
そんな私の気持ちにはお構い無しで、柏木くんは私の左手にあるアイスを口にした。
ぱくり、と。
「? ……??」
突然のことで首を傾げる私。
柏木くんがニヤッと口角を上げた。
「いわゆる間接チュー。今はこれで我慢しててあげるよ」
自分の唇のはしについたアイスを、舌で舐めとる姿はなんともやらしいのに、柏木くんだからかっこよく見えた。
じゃ、じゃなくて!
一体、何なんだこのひとはーっ!!!