出席番号一番の相沢くんは、入学してから3ヶ月経った今まで、数えるぐらいしか教室にいたことがなかった。
名前は知っていたけど、出身中学も全然違うところだし、ましてや話す機会なんてまるでなかったからどういう人なのかまったくわからなかったけど……
とんでもなく失礼な人でした!
もう知らないっ。あんな人。
あんなに授業サボっちゃって単位大丈夫なのかなとか、クラスメイトなりに心配してたけどするんじゃなかった。
そんなことをプンプンしながら考えて、校舎を出る。
そして、その直後、気づいてしまった。
「……あっ、日直の仕事まだ途中だった……!」
教材も片付けてないし、日誌もまだ書き途中。
窓の鍵が閉まってるか確認するのも忘れてきたし、黒板もきちんと消したか思い出せない。
ああっ……どうしようっ……!
別に学校を出てすぐのところだったから、戻れないわけじゃない。
でも、戻りたくなかった。
「……し、知らないもんねっ」
もともと今日は日直でも何でもなかったんだ私は。
自分でやらずに押し付けるのが悪い。
……引き受けたのに、最後まで責任取って終わらせないのも、最悪だね。