「それでは、委員会を終了します。各自、指示された作業を始めてください」


野川先輩の号令がかかり、みんなが解散。各々仕事へと入っていく。


「香波ちゃん!俺たちも行こう」


「あ、ちょっと待ってください。相沢くんが……」


未だに眠っている相沢くん。
慌てて起こそうとすると、優しいはずの柏木くんが「ほっとけよー」と言ってきて、思わず耳を疑った。


「相沢はいいよ。俺、香波ちゃんとふたりっきりがいい」


「ええっ!?」


なんじゃそりゃー!


思わぬ言葉に混乱していると、私より先に野川先輩が相沢くんを優しく揺り起こした。


「相沢くん、いつまで寝てるの」


「んあ……?あぁ……すんません……。あれ?香波は?」


あ、相沢くんっ……!


「香波ちゃん、行こっ」


「えっ、あ……」


柏木くんに半ば強引に引っ張られ、私は相沢くんに応えることができなかった。


「桜さんなら、柏木くんと買い出しに行ったわ」


私の代わりに答えるかのように、野川先輩が言ったのが聞こえた。


相沢くんは、目をこすりながらゆっくりと体を起こし、不思議そうにつぶやく。


「柏木と……?」


「ええ、そうよ。あなた達1年生には買い出しを頼んでいるけど、相沢くんはすぐサボりそうだから特別任務を与えるわ。私と一緒に来てもらうわよ!」


「えっ!? ちょ……」


私と同じように、相沢くんは野川先輩に引っ張られていった。


文化祭関係のことで、相沢くんと別行動をとったのは、思えばこの日が初めてだった……。