「だからね、何となく同じにおいを感じてた桜さんのことがずっと気にかかってたんだ。何だかほっとけなくって」


「え……」


テーブルに頬杖をついて、山田さんは私の顔をその大きな瞳で見つめてくる。


それから、目を細めてにっこりと太陽みたいに明るく笑った。



「ずーっとね、あたしが桜さんの最初の友達になろうって決めてたんだぁ。タイミング掴めなくて今頃になっちゃったけど」



そんな……私なんて、山田さんみたいな素敵な人に気にかけてもらえるのほどの人間じゃないのに……。


でも、山田さんが私の初めての友達になってくれたら、すごく嬉しいなぁ。


「まあそんなわけで、とりあえずまずお近づきの印にカフェでお茶でもって思って強引に連れてきちゃったんだけど、どう?ここのココア美味しいでしょ?」


「は、はいっ!とっても……」


「よかったー!じゃあ、また来ようね」


「ぜひっ……」


“また来ようね”
次のお誘いまで受けてしまった。
山田さんは、私とここにまた来てもいいと思ってくれてるんだ。


「あ、あの、山田さんっ……」


膝の上に置いた両手に力が入る。
ぷるぷると震え始めてるのがわかり、自分で思ってるよりもずっと緊張していることに気付いた。


でも、言うんだ。



「や、山田さんっ!
私と……私と、友達になってください……!」



私は、山田さんと友達になりたい。
もっともっと、仲良くなりたいと思ったから。