とりあえず喉の渇きを潤そうと、ココアを一気に飲み干す。
えっと、なんて答えたらいいんだろう。
というか、まともに話したのも今日が初めての人に何でこんなこと……。
「桜さん、もしかしてあたしなんかに緊張してる?」
「それはその……。人見知りだし、私喋るの得意じゃないし、こんなふうに話しかけてくれたのも山田さんが初めてなので尚更……」
しどろもどろで答えながら、ストローでココアをかき混ぜる。
くるくると回る氷を眺めていて、気付いた。
相変わらず、相沢くん以外の人の前だと、普通に話すどころか顔を上げることも苦手なんだなぁ……。
「ねぇねぇ、桜さん。あたしの第一印象どんなだった?」
「え……?第一印象……えっと……」
入学してこのクラスになって、一番初めのHRで自己紹介をした時のことを思い出す。
私なんて名前を言うだけで精一杯だったのに、山田さんは自分の好きな食べ物とか、どういうあだ名で呼んで欲しいとかきちんとみんなに伝えてて。
毛先がくるくるな茶色い髪を揺らして、明るく笑ったのが印象的。
「すごくキラキラした明るい人だなぁって……感じです……」
明るくて可愛くて、自然体で、いつもみんなの中心にいて。
羨ましいとは思ってたけど、それ以前に私なんかと関わることのない雲の上のような人だと思っていた。