山田さんに連れてこられたのは、学校からそう遠くないカフェだった。


扉を開けるとカランカランと可愛らしいドアベルが鳴り、私達は窓際の隅の席に案内された。


「桜さんは何飲むー?あたし、アイスココア!」


「えっ!? あの、えっと、じゃ、じゃあ……私も同じので……」


「オッケー!すいませーん!」


元気良く手を挙げて、通りかかった店員さんを呼ぶ山田さん。
私の分も注文してくれる姿は、何だかお姉さんみたい。


どういうわけでこんなことになってるのかわからないけど、学校帰りにお店に寄るなんて初めての体験で、私は少し落ち着かない。


アイスココアを待ちながらソワソワしていると、山田さんはさっそく。



「で?いつかは相沢くんのこと好きになったの?」



ええぇー!!?


いきなり何なんですか!というか何でそういうことに!?


びっくりしすぎて目が回りそうな私に構う様子は一切なく、山田さんは私の返答をにこにこしながら待っている。


「えぇっと……そのどうして相沢くんが……というかあの、私は別に……」


「えー?じゃあ、好きじゃないの?」


「それはっ、えっと……」


ちょっとパニックになりかけていると、ちょうど二人分のアイスココアが運ばれてきた。