「えっと、あの……」
おろおろと何か言おうとするけど、相沢くんは怪訝そうな目を私に向ける。
その目が怖くて思わず俯くと、頭上から再びため息をつくのが聞こえた。
「いっつもそーやって俯いてるよな、桜さんって。
そんなんじゃ、いつまでたっても自分の殻破れないと思うけど」
え?何?何なの一体?
どうして、平気で授業サボってるような人にそんなこと言われなきゃならないの?
私なんかの名前を覚えてくれてたって、さっきまで嬉しがっていた自分が嫌になる。
人のコンプレックスをそんな簡単についてきて、私の苦労や努力なんて1ミリも知らないくせに平気でお説教までしてきた。
本当に何なの、この人。
むかつく。
むかつくけど、相沢くんの言う通りかもしれない。
そう思うから、何も言い返せなかった。
「……す、すみません……」
だから、謝ることしかできなかったのに。
「はぁ……。そーやってすぐ謝るのとか、やめたほうがいいんじゃないの?自分が損するだけだぜ」