「な、何でしょうか……?」
「香波、ごめん」
「……?」
何だろう、相沢くん。
どうしたんでしょうか、あんまり見られるとどこに視線を持っていけばいいのかわからないのですが!
「そろそろ部活行かなきゃだから、今日はこのへんで切り上げていいか?」
「……へ?」
時計を見てみると、気付かない間に1時間も経っていた。
「あっ!すすすみません!どうぞ!私のことは構わず行ってらっしゃいませ!」
「ごめんな!明日HRあるから、みんなの役割分担はそこで決めようぜ」
「はい。よろしくお願いしますっ」
ぺこりと頭を下げると、相沢くんはそのまま教室を出ていくかと思いきや「あ」と声をあげる。
「香波、ちょっとじっとしてて」
「え?はい……」
相沢くんは私に近づくと、私の左肩に手を置く。
「あ、相沢くん……?」
目の前に相沢くんの顔があって、思わず頬が熱くなる。
この前お出かけをした日、エレベーターでのことを思い出して、心臓がうるさく鳴り始めた。
「あの、えっと……相沢く、……」
「よし、取れた」
……え?