「メイドさんと、執事さんと、裏でお茶とか用意する人、あとは宣伝係とか受付とか……」


「だいたい当日の役割はそんなもんだよな」


放課後。
いつものように私と相沢くんは教室に残って、文化祭の準備を進めていた。


一学期の期末テストも無事に終わって、夏休みを目前に控えた7月。


夏休み中は、学校全体の文化祭準備に時間を取られるので、クラスの出し物で決められる事柄は夏休み前に決めておこうということで、こうして相沢くんと相談している。


「あとは、当日のまでの準備の役割決めときゃ、俺たちがいなくても上手くやってくれんだろ」


「そうですね!じゃあ、まずは衣装係に美術係、あとそれから……」


とりあえず思いついた役割を紙にメモしていく。


買い出しはこの前私と相沢くんが行ったから、あとはガムテープとかなくなった時にその都度買いに行けばいいだけだし……。



「香波」



「は、はいっ!?」



私がそうしてシャーペンを動かしていると、相沢くんが突然私の名前を呼んだ。



相沢くんは、あの日から何故か私のことを名前で呼んでいる。