「じゃあ、俺たちもそろそろ帰るか」
「え、あ、そうですねっ」
大きく伸びをして相沢くんが言った。
ただの文化祭の買い出しに過ぎなかったけど、何だか楽しかったなぁ。
「急に呼び出して悪かったな」
「いえ!相沢くんのやる気が伝わって嬉しかったです!」
思ったことをストレートに言っただけのつもりだったけど、相沢くんがぷっと笑う。
「この常にだるそうな俺がそんなふうに見えたのか?」
「え?あ……確かに相沢くんはいつもだるそうでもう少ししゃきっとしたほうがいいのでは……と思うこともありますけど、サッカーやってる時とかすごい気迫ですよ?」
放課後、教室から部活をやってる相沢くんを見た時。
ゴールに狙いを定める時の射抜くような目。
そしてシュートを決めた時のすごく嬉しそうな笑顔。
今も鮮明に覚えてる。
「本当にサッカーが大好きなんですね。素敵だと思います。夢中になれるものがあるって」
いつものゆるい、だるそうな相沢くんからは想像できないけど、サッカーをやってる時が、相沢くんにとって一番自分らしくいられる時間なんじゃないかな、なんて勝手に分析した。