生徒会からもらったお金にはそれほど多いと呼べるものではないし、衣装だけにお金をかけるわけにはいかない。
ということで、服を買うのは今日は辞めて、どういう形のものにするかということだけ決めておくことにした。
メイド服同様、執事用のスーツも選んでいた時、相沢くんが仕返しと言わんばかりに様々なスーツを試着させようとしたけど、
「女子全員の服のサイズはチェック済みです。
だいたいの寸法はわかってるから着なくて大丈夫ですから」
と、完璧な理由をたてて、仕返しからはうまく逃れることができた。
相沢君は非常に悔しそうだったけど、私は気に留めなかった。
「あと、必要なものは……」
「なぁ、そろそろ昼飯食べよーぜ。腹減った」
メモを見る私に、相沢君は近所のファーストフード店を指差しながら言った。
時刻は、午後12時45分。
「あ、そうですね……。じゃあ、次に行く前に腹ごしらえしときましょうっ」
「おお!」
よほど腹が減っていたのか、珍しく喜ぶ相沢君を見てると思わずふき出しそうになってしまった。
すると、その時──。
「あ、桜さんに浩也くんじゃない」