「ったく、またお前ほいほい引き受けて……」
「す、すみません……」
柏木くんと別れたあと、まだ帰ろうとしない私に気づいた相沢くんはいつものあれだと察知したらしく、一緒に手伝ってくれることになった。
「相沢くん、私ひとりで大丈夫だから、部活に戻ってください」
申し訳なくてそう言ったけど、相沢くんは「いいから」とぶっきらぼうに言う。
本当に相沢くんには迷惑かけてばっかりだなぁ、私……。
「迷惑とかじゃないから」
まるで、私の心の中を読んでいたかのようなタイミングで、相沢くんがつぶやいた。
「俺が好きで手伝ってるだけだから、気にすんな」
相沢くん……。
向こうを向いて作業してるから、相沢くんがどんな顔でそう言ってくれているのかはわからない。
でも、その後ろ姿からは相沢くんの優しさを感じることができた。
「ありがとう……相沢くん……」
私の声に気付いて振り返った相沢くんは、私を見て驚いたように目を丸くして、そしてまた向こうを向いてしまった。