「こ、これだー!」



柏木くんが嬉しそうに声をあげる。


すごい、相沢くん。あれだけ探して見つからなかったのに、こんなに簡単に見つけちゃって……。


目を丸くしたまま相沢くんを見上げると、


「探し物は得意なんだ」


と、少し笑って言った。





「ほんとーにありがとうございました!超助かりました!」


ぺこぺこ頭を下げながら相沢くんにお礼を言う柏木くん。


私、全然役に立てなくて申し訳なかったな……なんて思っていると、柏木くんが笑顔で私のもとにやってきた。


そして、ぎゅっと両手を握られた。



「君も一緒に探してくれてありがとう!

香波ちゃん!」



……へ?


もう一度ぎゅーっと握りしめられ、柏木くんの手は離れていった。


「じゃあ、文化祭お互いに頑張ろーね!」


ぶんぶんと手を振りながら、柏木くんは嵐のように去って行った。


「何だ、あいつ? ……ってあれ、桜さん?」


呆然としている私の顔を相沢くんが覗き込んできたけど、それにも気付けないぐらい私の頭はふわふわしていた。


な、名前で呼ばれた……?